離婚による慰謝料の決め方
離婚の話合いの中での合意事項のひとつ、慰謝料についてその請求の仕方や注意点を解説しています。
1.離婚で慰謝料を請求できる場合
2.慰謝料はいくらで請求したらよいか?(慰謝料の相場)
3.慰謝料請求する際に注意すること
離婚で慰謝料を請求できる場合
以下の2つの場合に慰謝料を請求することが認められています。
1.相手方が離婚原因をつくり出した場合(個別慰謝料)
配偶者による暴力、不貞行為等の不法行為、ギャンブルなどによる借金で生活を破綻させたこと、あるいは性交渉拒否によって受けた精神的損害に対して慰謝料請求が認められています。
2.離婚によって精神的損害を受けた場合(離婚慰謝料)
過去の裁判例(大阪高裁平成12年3月8日)で、不法行為(暴力)による慰謝料以外に、「離婚による慰謝料」の支払いを命じたものがあります。また別の裁判例(最高裁の昭和31年2月21日)では、離婚の場合における慰謝料は「身体・自由・名誉を害された場合のみに限局するものではない」といっています。
慰謝料はいくらで請求したらよいか?(慰謝料の相場)
慰謝料の請求金は、基本的に請求者が自由に決められますが、相手方と合意が不可能な現実離れした金額の請求は避けないといけません。
いくらが妥当であるかといった、統計や基準は存在せず相手方の支払い能力が、大きな決定要素となっているのが実情です。
慰謝料額のおおよその基準を知りたいときは、自分の状況と似通った過去の裁判例を調べてみる方法があります。
裁判においては、相手方の責任の度合い・婚姻期間・支払い能力等を総合的に考慮したうえで、慰謝料の金額を算定しているようです。
慰謝料を請求する際に注意すること
証拠(請求根拠)を保存しておく
相手方に慰謝料を請求する際には、証拠と請求金額の根拠を示しながら行なうと効果的です。
メールの送受信記録や写真、診断書など裁判でも使える証拠の保存を行い、相手方の支払い能力と過去の裁判例等の要素を根拠に慰謝料の要求をすることとなります。
財産分与とのバランスを考える
慰謝料請求額をむやみに膨らませこれに固執して、話合いが進まなくなったり、その分財産分与額が減少するような取決めをなさらないようご注意ください。
慰謝料の支払いが長期分割払いになるときは、公正証書を作成して確実に取立てができるよう対策を取っておいてください。
3年の時効
暴力や不貞行為などの不法行為に基づく慰謝料請求は、損害及び加害者を知ったときから3年以内に請求して下さい。但し離婚成立から6ヶ月を経過するまでの間は、時効が停止していますので3年の時効期間が過ぎていても、この間に請求することができます。
離婚そのものによる慰謝料請求は、離婚成立の日から3年以内に請求する必要があります。