話合いの前に検討すべきこと
離婚の話合いをする前に、次のことを意識して話し合いに臨むようにしていただくと、場当たり的なまとまりのない話合いを避けることができます。
1 離婚成立日の設定をしておく
お互いに期限を意識した話合いをすることで、問題の処理のスピードアップが図れますので、離婚の意思が双方にあることが確認できたら、まず離婚成立日を設定することをお勧めします。
2 交渉の落としどころを織り込んだ青写真を用意する
すぐに具体的な話合いに移り、金額の微調整のみで交渉を終えられるよう、要求を整理した文面を準備すると同時に、妥協点も想定しておいてください。話合いのシミュレーションができていると落ち着いて交渉ができます。
▼ 離婚協議書作成プラン3 離婚後に判明しがちな事柄に注意する
公正証書や覚書を作成し、離婚が成立した後に判明しがちな事柄として、婚姻中の不貞行為などがあります。一般的に公正証書や覚書には、「今後一切の金銭的、財産的請求をしない」、「双方に債権債務は存在しない」旨の条項があり、離婚後には請求しづらい面があります。
錯誤(知らなかったこと)を理由に清算条項の無効を主張する余地はあると思いますが、できれば離婚前に発見して証拠をもって相手に認めさせて、慰謝料・財産分与に反映させたほうが遥かに効率的です。
その他保険の返戻金など、話合いの俎上に乗せるべき材料が抜け落ちていないか確認してください。
話合いの前に準備すべきこと
離婚の話合いをするに当たり、欠かすことのできない事前の準備には下記のようなものがあります。
1 当面必要となる生活費
婚姻中であればたとえ別居中であっても、生活費を請求することができますが、へそくりなどのまとまった金銭や就職による収入の確保など、当面の生活と今後の自立に向けての準備が必要になってきます。
2 役所で受けられる支援内容を把握
離婚後すぐに手続きに移れるよう、役所の子育て支援課や福祉課の窓口に出向いて、ご自分と子どもが受けられる支援について、説明を受けるようにしてください。
3 夫婦共有財産、相手方の収入を詳細に把握
保有財産額や相手方の収入がわかるように預金通帳、固定資産納税通知書、相手方の給与明細等の資料を集め、また退職金、保険の返戻金等漏れの無いよう把握してください。
4 離婚に関する法律や法的に有効な手続きについての知識を収集
話合いの主導権を持ち、たたき台となる離婚協議書を作成するについては、ある程度の法律的知識が必要ですので専門家を利用して補充をしておいてください。
5 子どもの預け先と住居の確保
話合いの進展にしたがってすぐに動けるよう、子どもの預け先を確保し、また別居していない場合は住居についてあたりを付けておけば、慌てることなく次の人生に踏み出してゆけます。
離婚をしないという選択
離婚は人生において大きな決断であり、大変に悩み自問を繰り返しながら結論を出すことになります。しかし皆がみな合理的な判断のもと決断を下しているとは、必ずしもいえないのが実情です。
そうした悩みの中で、今の段階で離婚を選択するのは賢明でないとの結論に至り、考え直すことも非常に大切です。ご自身だけでなく子どもの将来を考えた場合、なおさら慎重な決断が望まれます。
慎重な判断には、離婚の話合いに臨む前に行なう準備の過程で収集した情報が大変役に立ちます。またお一人で考えると視野が狭くなることがありますので、周囲の理解者にご相談いただくことも重要です。