内縁(事実婚)の解消方法
内縁(事実婚)解消と法律婚による離婚との差異や慰謝料・財産分与、年金分割の取決めなどの手続きについて解説しています。
1.内縁(事実婚)の解消の仕方(解消の手続き)
2.内縁(事実婚)の不当破棄となる場合
3.内縁(事実婚)解消に伴う慰謝料・財産分与、年金分割等の取り決め
内縁(事実婚)の解消の仕方(解消の手続き)
法律婚の解消つまり離婚には、当事者双方の離婚の意思を裏付ける、離婚届提出という形式的な条件がありますが、内縁(事実婚)の解消は、夫婦共同生活の存在が無くなったことで成立します。
婚姻に準ずる関係の清算
内縁(事実婚)は裁判所においても、婚姻届出がなく法律上の婚姻といえないが、婚姻に準ずる関係であると認め、法律婚に適用される権利義務の多くが、内縁(事実婚)にも適用されています。
以下が内縁(事実婚)にも認められる事柄の主なものです。
- 同居義務、共同生活費(婚姻費用)分担
- 貞操義務
- 財産分与、内縁関係不当破棄に対する慰謝料請求
- 自賠責保険金(保障)の請求
- 遺族年金・給付金の受給
- 年金分割請求
内縁(事実婚)の証明
内縁(事実婚)の成立は、当事者双方に婚姻の意思があり、かつ夫婦として共同生活を営んでいれば足りますが、内縁の配偶者が上記のような権利に基づく申請を役所などにする際に、内縁(事実婚)期間を示すもの等の提出が必要になることがあります。
そうした場合、住民票を現実の居住どおり忘れずに移し、住民票に未届の妻・夫との記載をしておいてもらうか、会社へ扶養家族として届けておけば証明が容易になります。
内縁(事実婚)の不当破棄となる場合
正当な理由のない一方的な内縁解消は慰謝料の問題となる
内縁(事実婚)の解消は、当事者双方の合意により夫婦共同生活を止めれば成立しますが、正当な理由なく一方的に内縁(事実婚)の解消に踏み切った場合は、相手方に損害賠償責任を負うこととなります。
正当な理由とは?
内縁(事実婚)も法律婚に準じたものとされ、一方的に解消するには正当な理由が存在しなければなりません。この正当な理由とは、法律上の離婚原因として定められる事項と合致するとされています。
相手方が不貞行為や暴力又はギャンブルによる生活破綻を引き起こしたことにより、夫婦生活が破綻したときは「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる可能性があり、一方配偶者は慰謝料の支払いをせずに内縁(事実婚)の解消を請求することができます。 ▼ 法律上の離婚原因
内縁(事実婚)解消に伴う慰謝料・財産分与、年金分割等の取り決め
内縁(事実婚)についても法律婚における離婚と同様、話合いにより支払い金額等の合意をして、内縁(事実婚)関係を解消する流れとなります。
話合いがつかないときは、これも法律婚と同じく相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に、慰謝料や財産分与などについて調停の申立てをすることができます。
慰謝料、財産分与、年金分割等の取決めは、書面にしておくことをお勧めします
慰謝料などの支払いが長期分割になる場合は、その取決めの内容が証拠として残るよう、最低でも覚書きなどの書面にしておくことをお勧めします。
また公正証書を作成しておくと、年金分割請求手続きの際に相手方の年金事務所への同行を不要とし、お一人で請求手続きを済ますことができて便利です。