養育費などの支払いがストップしたときの対応
支払われるはずの養育費や慰謝料の不払いが起きたときの対処方法について解説しています。
口約束又は覚書きにより、養育費などの取決めをした場合
公正証書等のように強制執行のできない形での離婚条件の取決めをした場合は、下記のとおり話合いができるケースと話合いができない又はまとまらないケースでは対応が異なってきます。
当事者同士で話合いができる場合
支払い期限を具体的にする
直接又は手紙・内容証明で請求しながら、相手方の生活状況や支払いの見通しを聞きだし、具体的な支払期日の約束を取り付けるようにします。
場合によっては公正証書作成を相手方に求める
もともとの支払いの約束が長期間のものであったり、支払いが滞り更に支払いが先延ばしになったりして不安である場合は、相手方に支払いについての義務感を強く持ってもらうことと取立てを容易にするため、公正証書を作成することを検討してください。
この提案に対する相手方の態度を見ると、支払いの約束が無責任なものであるかどうかを見きわめることもできます。
話合いで解決がつかない場合
調停を申し立てる
養育費、財産分与・慰謝料等の支払いの約束をしたにもかかわらず、催促をしても相手方義務者がこれに応じないときは、家庭裁判所に調停を申し立てて支払い請求、話合いをします。
調停は1ヶ月に1回程度1~2時間の話合いのため、解決までに時間がかかるのが難点ですが、調停で合意して調書が作成すると公正証書作成と同様に、いざとなったとき強制執行による取立てが可能となります。
裁判を起こす
話合いも調停でも解決できないときは、裁判をして強制的に支払わせる方法をとることになります。裁判で勝つためには、支払いの約束を示す証拠と弁護士費用等多額の費用と時間が必要で、多くの方が取り立てを諦めています。
公正証書、調停調書により、養育費などの取決めをした場合
公正証書、調停調書を作成してある方の、養育費等の不払いの相手方への対応は、概ね以下の順で行なわれています。
電話、手紙・内容証明で催促する
手数と費用のかからない方法で解決を試みる
相手方が支払いを怠った場合には、すぐさま強制執行に移れますがなるべく手数と費用のかからない当事者での解決を試みます。
催促の折に、強制執行の可能性に触れて自主的に支払いをするよう促すと同時に、相手方の事情を聞きだして今後の誠意ある対応が期待できるか見極めます。
催促を無視するなど相手方に誠意が無い場合
公正証書を作成してある場合
強制執行に移るための準備を開始します。具体的には、強制執行の対象となる財産の特定や勤務先の確認などの調査をします。支払い能力の無い相手方からは取立てが期待できないからです。
裁判所で強制執行の手続きをする際には、給料や自動車、不動産などの取り立て対象の財産を示すことが必要になります。また、公正証書の正本に執行文が入っていることが必要になりますので、公証役場で執行文付与と送達証明書の交付を受けておきます。
調停調書を作成してある場合
調停調書を作成した家庭裁判所に対し、履行勧告(履行命令)を不払いの相手方に出してもらうよう申し出ると、電話や書面によって相手方に催促をしてもらえます。強制力はありませんが催促された者の半数以上は、履行勧告に従っているようです。
もちろん調停調書により強制執行手続きを取ることも可能です。この場合はあらかじめ家庭裁判所で調停調書の正本に執行文の付与を受けておくことが必要となります。