協議離婚に当たって注意する点
協議離婚は、第三者が間に入ることなしに当事者の意志にもとづいて、簡単に離婚を成立させてしまうことができます。
費用や時間の面で合理的な制度である一方、下記のような欠点をはらんでいますので注意と対策が必要です。
- 離婚をあせり相手方の身勝手な理由、条件の離婚が実現してしまう可能性がある
- 相手が悪くてもその相手が応じなければ、いつまでも離婚はできない
- 養育費等の支払いを相手方に強制するには、離婚時に公正証書の作成をしておくか、新たに調停調書・確定判決が必要となる
- 親権者が決定していないと、離婚を成立させることができない
- 離婚に関する知識不足により、相手方の主張が正しいかどうかの判断がつかない
- 離婚届未提出や、役所への不受理申出により、翻意される可能性がある
協議離婚で損をしないための5つの対策
その 1 清算すべきものがないことを確認してから離婚届を提出
メールの送受信記録に不倫の証拠がないか、又養育費、財産分与・離婚慰謝料などの支払いについての合意の他に、清算すべきものがないかを確認の上、離婚届を提出するようにしてください。
離婚をした後でのこれらの話合い、証拠・事実の把握は大変な作業となります。
その 2 支払いが長期になるときは、公正証書を作成
養育費など長期にわたる支払いを受ける場合には、不払いのときに裁判手続きなしに強制執行が可能な、公正証書を作成しておくと安心です。不払いの抑止効果も期待できます。
その 3 自分と子どもの権利に対応する財産、収入を詳細に調査
保有財産額により財産分与額が決まり、収入によって養育費の目安を知ることが可能ですから、預金や不動産の額及び相手方の収入、保険の返戻金等をしっかりと把握しておくことが重要です。
その 4 話合いをスムーズに進めるためのたたき台を用意する
相手方が理解しやすいように、自分の意向を反映させた合意事項を記載した、たたき台となる離婚協議書を作成しておき、これを話合いの出発点として具体的に数字を詰めていきます。
その 5 経済的問題と育児問題をクリアしておく
養育費や行政・周囲の支援があっても、周知のとおり一人親の仕事と育児の両立は、容易なものではありません。生活が困窮しないように、見通しを立てておくことは必須です。